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忌々しい絵と彼の願いー舞台「ドリアン・グレイの肖像」

東京の新国立劇場で舞台「ドリアン・グレイの肖像」を見てきた。

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劇場が駅から直結なんて素晴らしいよね?!

めっちゃ簡単に着いたよ…

あらすじ

ドリアン(中山優馬)は自身の肖像画を見て喜ぶと同時に絵の自分は老けないのに、自分は老けて行く事に絶望を感じる。そして彼は願う。「反対だったらいいのに。」と。それから彼が悪い事をするたび絵の自分が老け、彼自身は若々しい顔を保ったままー

最初にドリアンは恋人のシビルに分かれを告げる。シビルは悲しみのあまり自殺してしまう。すると爽やかな笑みを浮かべていたはずの彼の肖像画は不敵な笑みを浮かべたものに変わっていた。

それからも彼の悪事は止まらず最終的に肖像画の彼はシミ、シワだらけの顔になってしまう。そしてそれを見て嘆く画家(肖像画を書いた人)さえもドリアンは殺してしまう。殺す瞬間、後ろの肖像画は最初のものと醜いものが交互に写し出されていた。もう元のドリアンは帰ってこない。画家の言葉に「あの呪われた目がこっちを横目で見ているのが分からないのか?」というのがあった。肖像画のドリアンがいくら老いても目はずっと綺麗なまま。これは何を意味しているのだろうか。

そして彼は気付く。「過去(肖像画)を壊してしまえばいい。」そう言って壊した肖像画は彼自身だった。肖像画が壊れた時、彼も一緒に死んだ。現実の彼は何年経っても美しい姿のままだったのに、死んだ後は召使いが彼と分からなくなるほどに老け込んでいた。そして醜かったはずの肖像画は出来上がった時と同じ爽やかな笑みを浮かべていた。

人間はいつまでも若いままいれない。それなのに悪いままではいれる。ドリアンは何度か「残酷」という言葉を使っていた。人間は知らず知らずのうちに残酷な事をしてしまっているのではないだろうか。そしてその時ドリアンのように肖像画が醜くなるのではなく、心が醜くなっているのだろう。